【番外編】南の島からのラジオ放送

そういえば、インターネットが普及したおかげで使わなくなったものがラジオだ。それでも日本にいた頃はJ-WAVEなどで音楽チェックをしていたけど、海外に移動してからは本当に聞かなくなった。ラジオもインターネットラジオを時々聞くくらいだったけど、そのインターネットラジオも今ではすっかりSpotifyに取って代わってしまった。
そういえば、海外への窓口は昔はラジオだったのだ。
BCLブームのときなどは、「こちらはモスクワ放送局です」という声を聞いて、なんとあの遠いモスクワから音声が届いている!とそれだけで嬉しくなったものだ。そして、実はモスクワからではなくシベリアあたりから電波が送られてきていたことを知ってガッカリしてみたりした。
おしゃべりのない音楽放送が聞きたくて、スーパーロック・キョイにチューニングを合わせて、サイパン島を思い描きつつ不安定な電波状態で流れてくるレディー・マドンナを聞いたりした。
あるいはノイズの中に外国語の音楽を捉えて、「これはどこの国の放送なんだろう」なんて空想を膨らませたりした。
でも、そういうのがすっかりなくなってしまった。
科学の進歩が月のウサギを殺してしまったとはよく言うセリフだけど、同じようにインターネットも、便利だけど、想像力を働かせられる余地をどんどん削っているような気がする。
もっとも、今では海外だってちっとも遠い場所ではなくなってしまった。なんたって、自分が暮らしてるくらいだもんなぁ。


子供の頃は地球は広大なミステリーゾーンだったけど、今ではなんだか地球がとても小さくなってしまったように感じてしまう。科学の進歩なのか、歳をとって何にでも新鮮味を感じなくなってしまったせいなのか、いやはや。