【番外編】朝寝の敵



さて、セブは実はフィリピンではマニラに次ぐ第二の大都市で、しかも大昔にはここに首都が置かれていた時代もあるそうです。そんなわけで、立ち位置としてはちょうど日本の京都、あるいは大阪にあたるのです。
では、その国内第二位の大都市での生活がどのようなものかというと、それはとてもとても、大都会の生活と呼べるようなものではなくて、むしろのんびりとした田舎町での生活のようなものだったりします。
確かに人も多く、渋滞もあるにはあるのですが、マニラのひどさに比べると無いに等しいくらいです。空気だってさすがに海沿いの街だけあってさわやかで、特に朝などはバルコニーに出ると自然に深呼吸がしたくなるほどです。(そんなわけで写真を撮り始めました)
では、そんな爽やかな朝を気持ちよく過ごせるのかというと、必ずしもそうでないのがこの町の面白いところです。
問題は騒音。
まず午前3時半ころからニワトリが鳴き始めます。ニワトリというのは陽の出に合わせてコケコッコーと叫ぶものだと思っていたのですが、実はこの唐揚げの材料鳥ときたら、よりによってまだ真っ暗な時間から騒ぎ出してくれるのです。
国内第二の大都市で、ニワトリの声で目が覚めるとは思いませんでした。
そして朝の5時になると、もう一つの音声攻撃が始まります。
”祈り”です。
当初は周囲にモスクでもあるのかと思っていました。でも地図を見ても、周囲を歩き回ってもそれらしきものは見当たりません。近くにあるのはカトリックの教会だけです。
そう、実は朝の”祈り”はイスラム教の礼拝ではなくて、カトリック教会のものだったのです。しかも祈りだけではなく、ごていねいに朝っぱらから賛美の歌まで歌ってくれるのです。善良な一般市民をたたき起こしておいて賛美でもないだろうと思うのですが、でも、この件は確かにカトリック教会が聖書を読んでいないことの証明になるでしょう。
もしも読んでいたら、彼らは箴言27章14節を思いに留めるはずだからです。
その聖句はこう言っています。
「早朝に仲間を祝福すると、それは”呪い”と受け取られる」。
ああ、静かな朝が愛おしい……。

もっとも、ロックダウン規制のかかっている今は、さすがに多少は静かですが……。